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【毎日新聞】 脱原発:「集会の継続を」 鎌田慧さん、イベントで呼び掛ける−−東山 /京都

脱原発:「集会の継続を」 鎌田慧さん、イベントで呼び掛ける−−東山 /京都
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20111025ddlk26040600000c.html

 全国で1000万人の脱原発署名運動を呼び掛けているルポライター鎌田慧さん(73)や作家の瀬戸内寂聴さん(89)らが参加して京都市東山区円山公園音楽堂で16日に開かれた「第5回反戦・反貧困・反差別共同行動in京都」(実行委主催)。「変えよう!日本と世界」を掲げて集まった約950人の市民らに鎌田さんらは、署名・集会などの継続・拡大を呼び掛けた。

 鎌田さんは9月19日に東京であった「さようなら原発5万人集会」に7万人近くが参加したことを紹介。「日本の運動が世界に影響を与える」と述べた。 原発の問題点をえぐる数多くの著作で知られるが、「我々が力を尽くして本気で止める運動をしてこなかった反省がある」と述べ、運動継続を約束した。

 来年2月に全国で計50万人規模のデモ▽同3月11日に福島県内で集会▽同5〜6月に10万人を目指す集会−−などを計画していることを発表。「再稼動を絶対に阻止して廃炉に導こう。福井県若狭の原発に近く、極めて危ない京都でも集会の継続を」と参加者に呼び掛けた。

 瀬戸内さんは「(数え年)90になってつくづく思うのは、生きることは行動すること」と強調。特に若者への期待を込めて「青春とは恋と革命。頑張って恋して革命を起こして。あの世から成功を拝見します」と述べ、会場を和ませた。

 「死ぬ前にやりたいことは」との質問に「やりたいことはやり尽くし、いつ死んでもいい。極楽があるかどうかを見て、皆さんに教えたい」と答えて笑いを誘い、「署名する1000万人の1人になることは人間の誇りです」と締めくくった。

 また、ドイツ「緑の党」副代表のべーベル・ヘーンさんは同国の脱原発の流れを説明。「原子力に頼らなくても再生可能エネルギーに転換でき、原子力の10倍の雇用が生まれている」と強調した。

 ◇差別の構造、変えよう
 集会では「現場からの訴え」もあり、釜ケ崎日雇労働組合の山中秀俊委員長が「原発は過疎地と日雇いの使い捨て労働、その双方への差別がなければ存在できない」と指摘。「廃炉が始まっても、多くの労働者が作業で被ばくせざるを得ない事実をしっかり見て」と訴えた。さらに「重層的な下請け構造が責任をあいまいにし、労働者の団結も奪っている。うそで塗り固められた原発開発を許してきた構造を変える闘いに我々も共に進みたい」と語った。

 福島県から避難中で「脱原発Tシャツ・プロジェクト」に参加する加藤裕子さんは「ここ京都も、若狭の原発で事故が起きれば福島と同じ事態になることに気づいていただきたい」と訴えた。

 また、元福井県美浜町議の松下照幸さんは「若狭で大地震が起きたら福島よりはるかに難しい事態になる」と警告。高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)と関西電力美浜原発美浜町)の下にそれぞれ断層が潜り込んでいるとし、町議としての経験からも「行政や議会に任せてはいけない」と述べた。「原発が止まった時の雇用・経済が展望できれば立地地域も脱原発に踏み切れる。都市部との連携でそういう場を作りたい」とも語った。【太田裕之】

毎日新聞 2011年10月25日 地方版