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【琉球新報 社説】「もんじゅ 無用の長物、廃炉を望む」

琉球新報 社説】

もんじゅ 無用の長物、廃炉を望む
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-183519-storytopic-11.html

2011年11月1日

 1980年から現在までに約9500億円もの事業費をつぎ込みながら、何の成果も挙げられない原子力施設がある。高速増殖炉の原型炉もんじゅ福井県敦賀市)のことだ。

 高速増殖炉軽水炉より高速の中性子核分裂を起こし、燃えないウラン238を、燃料のプルトニウムへ転換する原子炉だ。

 「発電しながら、使った燃料よりも多くの燃料をつくれる」というのがうたい文句だが、うまい話にはうさんくささが付きまとう。

 94年に初めて臨界に達した後、95年にナトリウム漏れ事故が起きた。冷却材のナトリウムは水や空気に触れると激しく反応するため管理が困難だ。2010年には原子炉容器内で装置が落下するトラブルが発生している。

 実用炉の導入目標は10年、30年とたびたび先延ばしされた。政府は50年ごろの商業ベース導入を目指しているが、「絵に描いた餅」の域を出ない。

 燃料となる猛毒のプルトニウムは「地獄の王の元素」と呼ばれる。プルトニウム239の場合、放射能が半分になる半減期は約2万4千年だ。原子炉で重大事故が起きると致命的な事態を招きかねない。

 もんじゅは運転が止まっていても年間200億円前後の維持管理費が掛かる。無用の長物と化した高速増殖炉に巨費を投じるのは血税をどぶに捨てるに等しい。政府は一刻も早く廃炉を決定すべきだ。

 この期に及んで、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構の鈴木篤之理事長が、発電の実用化とは別の研究開発に軸足を移し「いろいろな新しい技術を試す原子炉として使った方がいい」と述べているのは理解に苦しむ。

 福島第1原発事故では大量の放射性物質が拡散した。いまだに確たる収拾の見通しさえ立っていない。鈴木理事長は(1)新型の燃料を燃やす(2)廃棄物の発生量を減らす―といった新たな研究開発への活用に言及しているが、それ自体、原発推進路線の継続を前提としており、到底容認できない。もんじゅの存続で潤うのは「原子力村」に属する関係者だけだろう。

 政府の行政刷新会議が今月予定する「提言型政策仕分け」の対象にもんじゅも含まれている。1兆円近い国費を無駄遣いした上、なおも施設を延命させる選択肢はあり得ない。