【朝日新聞】 脱原発署名 府内でも ◆12日 四条河原町で開始◆ 京都の会、「1000万人」に連動 ■恩恵ない究極の公害■ ―市民環境研究所・石田代表に聞く―
【朝日新聞】 脱原発署名 府内でも
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2011年11月10日
◆12日 四条河原町で開始◆
作家の瀬戸内寂聴さんや哲学者の鶴見俊輔さんらが呼びかける「さようなら原発1000万人アクション」につながろうと、「京都の会」が結成された。脱原発へ全国1千万人の署名集めをめざす行動に、国内最多の原発立地県に接する地でも関心が高まる。
京都の会、「1000万人」に連動
行動は6月、音楽家の坂本龍一さんやルポライターの鎌田慧さんらも呼びかけ人になって始まった。来年2月までに1千万人の署名を集め、新規原発の建設中止▽既存原発の計画的廃止▽プルトニウムを使う福井県の「もんじゅ」や青森県の再処理工場の廃棄を政府に求めていく。
京都の会は9月に発足した。市民環境研究所(左京区)の石田紀郎(のりお)さん、グリーン・アクション(同)のアイリーン・美緒子・スミスさん、京都反原発めだかの学校
(右京区)の佐伯昌和さんら市民運動に取り組む100人以上が呼びかけ人に名を連ねた。府内では20万人の署名が目標だ。
原発震災が起き、府内でも脱原発デモや学習会が相次ぐなか、参加したくてもできない高齢者らから「自分も何かしたい」との声が上がっているという。佐伯さんは「電力の消費者としても福井の原発に無関心ではいられない」と話す。
京都の街頭署名活動は12日午後1時半から、四条河原町交差点でスタートする。問い合わせは佐伯さん(075・465・2451)へ。
■恩恵ない究極の公害■
―市民環境研究所・石田代表に聞く―
なぜ、署名を呼びかけるのか。研究者として公害の現場を長年歩いてきた元京都大教授(植物病理学)で市民環境研究所代表の石田紀郎さん(71)に聞いた。
核も原発も平和利用はありえない。落ち葉などの有機化合物は紫外線と微生物によって分解され、次の生命のもとになる。放射能はこの自然の循環に組み込まれず、どうにもならん。
差別構造の上にしか成立しないとも言える。アメリカも旧ソ連もフランスも、核実験は先住民やミクロネシアなど社会的に弱い立場の人の土地でやってきた。電力会社が福島や福井に原発をつくることと同じではありませんか。
カネが落ちて地元は恩恵を受けている、という声がある。社長や大株主は都会に住み、原発の立地やその近くに住んでいる人で本当に金もうけをした人なんていない。なにより、家も畑も墓までも全部が奪われる「恩恵」って何ですか。
こう考えると、核も原発も究極の公害なのです。僕が公害の現場を40年歩いてきたのは、みんなが安心して暮らせる社会をめざしたから。なのに、福島の人をああいう目に遭わせてしまった。敗戦も経済成長も全部見てきた僕の世代は、本当に苦い気分を味わっている。孫たちに申し訳ない。都会でぬくぬくと生きている私たちがせめてできること、それが署名運動です。