バイバイ原発・京都 のブログ

バイバイ原発・京都 のブログです

【沖縄タイムス社説】[「もんじゅ」見直し]脱原発へ確かな道筋を

沖縄タイムス社説】[「もんじゅ」見直し]脱原発へ確かな道筋を
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-11-22_26363/

2011年11月22日 09時11分

 取り返しのつかない事故が起き、原発安全神話は崩壊した。実用化のめどの立たない原子力開発に、このまま巨額の税金を投じ続けるべきではない。政府には、政策転換への具体的な道筋を示してもらいたい。

 政府の行政刷新会議が主要政策の問題点を洗い出す「提言型政策仕分け」が始まった。停止中の高速増殖炉もんじゅ」(福井県)について、「存続の是非を含め体制・計画を抜本的に見直す」と判定した。

 1兆円を超える開発費を投入しながら、トラブルが相次ぎ、ほとんど稼働していない「もんじゅ」の現状と、非現実的な将来見通しを見れば当然の判断だといえよう。

 使った以上の燃料を生み出すとして、「夢の原子炉」と呼ばれていた高速増殖炉もんじゅは開発の4段階のうち2段目の「原型炉」だ。

 1994年に初臨界を達成したものの、95年にナトリウム漏れ事故を起こし停止。2010年5月、14年ぶりに運転再開にこぎ着けたが、同年8月に原子炉内で機器の落下事故が起き、再び停止した。

 高速増殖炉は長年、国が描く核燃料サイクル政策の中核に位置付けられてきた。各地の原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し再び燃料に使えば、資源小国の日本に有効だとする考え方である。

 しかし、使用済み燃料の再処理や燃料加工は、一般の原発より技術的に難しい。核兵器にもなるプルトニウムの大量保有について、国際社会の理解を得るのは困難だ。

 高速増殖炉を実用化するには、原型炉の後に実証炉でさらに研究する必要がある。実用化の時期は先送りが繰り返され、今のところ2050年ごろとされる。

 一方で、野田政権は既に「脱原発依存」の方針を打ち出している。新たな原発は造らず、寿命になった既存原発廃炉にする、という中長期的な方針だ。そうした中で、40年後の実用化を目指した開発には疑問を持たざるを得ない。

 もんじゅは、運転が止まっている現在も年間約200億円の維持管理費が必要だという。震災復興や原発事故の収束に巨額の財源が必要な中、原子力行政に大なたを振るうべきなのは明らかだ。

 今回の仕分けで、政策見直しの方向性は示された。ただ、仕分け結果には、政策変更や予算削減などの法的拘束力がない。今後の焦点は、示された提言が、きちんと政府の政策決定に反映できるか、だ。

 過去の「事業仕分け」では、判定の結果がその後うやむやになった事例がある。

 例えば、国家公務員宿舎朝霞住宅(埼玉県朝霞市)の建設事業は、09年の政府の事業仕分けで「凍結」と判定された。にもかかわらず、その後、街づくりに貢献するなどの理由で再開された。さらに、「公務員優遇」と世論の批判が強まると、方針を再び転換した経緯がある。

 政府のエネルギー・環境会議は、来夏までに今後のエネルギー政策をまとめる。今回の提言を、脱原発に向けた具体的な取り組みにつなげてもらいたい。