【中日新聞】福井の原発群「地震想定、不十分」 野洲でシンポ+【産経新聞】湖国のエネルギー考える 滋賀弁護士会が原発シンポ
【中日新聞】福井の原発群「地震想定、不十分」 野洲でシンポ
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20111127/CK2011112702000112.html
質問に答える石橋克彦神戸大名誉教授(右)と井野博満東京大名誉教授=野洲市小篠原の野洲文化小劇場で
原発依存の暮らしのままで良いのか−。滋賀弁護士会が野洲市小篠原の野洲文化小劇場で開いた26日のシンポジウム。講演の登壇者は福井県の若狭湾に立地する原発の危険性を訴え、パネル討論では「エネルギー」をテーマに議論を交わした。来場した約180人は、真剣な表情で議論を見守った。
第1部では、自然災害と原発事故が複合して起きる「原発震災」の危険を指摘してきた石橋克彦・神戸大名誉教授が登壇。過去に発生した地震やプレートの動き方などから福井県の若狭湾一帯を「地震活動帯」と紹介し、「原発を襲う地震の想定が不十分」「若狭湾にも大津波はあったのに、津波の想定が甘い」と指摘した。
大地震で大規模放射能放出事故が起きた場合には「琵琶湖の水が汚染され、京阪神の水は飲めなくなる」と警告。被害が広域にわたり深刻な被害をもたらす危険性を示した上で「一番怖い浜岡原発がとりあえず止まった現在、本当に怖いのは若狭湾」と述べた。
金属材料学の専門家の井野博満東京大名誉教授は、原発の寿命は40年ほどで、金属材料の劣化原因や劣化による事故例を説明し「関西は老朽化原発の先進地」と語った。福井県敦賀市の敦賀1号機や同県美浜町の美浜1号機が40年を超えて運転し、30年超の原発も福井県内に集中していることも示した。
第2部では、定光裕樹・資源エネルギー庁総合政策課戦略企画室長、佐和隆光滋賀大学長らがエネルギー政策でパネル討論した。
佐和学長が「今年の夏に我々が分かったことは、原発なしでもやっていけるのではないかということ。節電はまだまだできる」と強調。定光室長は「製造業では安定供給など電力の質を重視している」と指摘した。
「毎日、何げなく差し込むコンセントの向こう側を想像してください。その先に原発があるのです」。シンポの終幕では、井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)が9月に新宿であった集会で、被災者の言葉をそう引用。その上で「無意識に電力を使い続けてきた一人一人が、しっかり考えていくことが大切だ」と結んだ。 (梅田歳晴)
【産経新聞】湖国のエネルギー考える 滋賀弁護士会が原発シンポ
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111128/shg11112802170003-n1.htm
2011.11.28 02:17
原子力発電や将来のエネルギーについてのシンポジウム「湖国で考えるこれからのエネルギー〜若狭の原発の危険性を見据えて〜」が26日、野洲市小篠原の野洲文化小劇場であり、住民ら約180人が集まった。
福島第1原発の事故を受け、原発のある若狭湾に近く「近畿の水がめ」を持つ県民に、他県に先駆けて今後のエネルギーに関して問題意識をもってもらおうと滋賀弁護士会が主催。
始めに石橋克彦神戸大学名誉教授(地震学)と井野博満東京大学名誉教授(金属材料学)が、若狭湾の原発の危険性をそれぞれの立場から解説。井野名誉教授は「老朽化して危険な原発は若狭湾に集中している。原発の廃止を前提にエネルギー消費の削減を実現すべき」と強調した。
その後、再生可能エネルギーやエネルギー政策についてのパネルディスカッションがあり、資源エネルギー庁戦略企画室の定光裕樹室長が「途上国に技術を提供するためにも一定の原子力の技術は必要」と述べたのに対し、日弁連公害対策・環境保全委員会の只野靖弁護士は「むしろEV(電気自動車)などの技術を地道に輸出すべき。琵琶湖の自然を守るためにも原発を止める覚悟が必要。この問題を家や町や市のみんなで考えてほしい」と主張していた。