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【日本生活協同組合連合会】生協も「脱原発」へ −日本生協連が提言「エネルギー政策の転換をめざして」を発表−

【リベラル21】生協も「脱原発」へ −日本生協連が提言「エネルギー政策の転換をめざして」を発表−
http://chikyuza.net/n/archives/18642

2012年 1月 20日

<岩垂 弘(いわだれひろし):ジャーナリスト・元朝日新聞記者>

 生活協同組合(生協)の全国組織、日本生活協同組合連合会日本生協連、組合員2300万人)は1月17日、「エネルギー政策の転換をめざして」と題する提言を発表した。昨年3月11日の東日本大震災によって生じた東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、生協として日本のエネルギー政策はどうあるべきかを検討してきたが、この提言はその検討結果をまとめたもので、「原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換」を求めている。日本最大の消費者団体が脱原発の主張を明確にしたことは、原発をめぐる世論に影響を与えそうだ。

 福島第1原発の事故は、生協陣営にも衝撃を与えた。生協陣営はこれまで原子力発電の是非については踏み込まないできたが、福島第1原発の事故は世界最大級の規模で被害も甚大だっただけに、生協陣営にも何らかの態度表明を迫るものとなった。

 このため、日本生協連執行部は昨年6月の通常総会に「福島第1原発の事故は、日本のエネルギー政策のあり方を根本的な見直しを迫るものとなりました。日本生協連としては、こうした情勢を正面からとらえて、原子力発電を含むエネルギー政策を検討するために、理事会の専門委員会として『エネルギー政策検討委員会』を設置し、今後の社会的な論議の動向も見据えながら、今後の日本のエネルギー政策のあり方、くらしの見直し活動と生協事業のあり方について、生協としての見解をまとめていきます」との方針を提案、これが可決されたことから、理事会のもとに設けられたエネルギー政策検討委員会で検討を続けてきた。この間、全国の各生協でも討議が行われたという。

 1月17日にエネルギー政策検討委員会から理事会に検討結果の答申があり、理事会がこれを承認し、決定した。記者会見に臨んだ芳賀唯史・専務理事によれば、提言は内閣、原子力委員会経済産業省などに伝えるという。

 提言は第1章「くらしとエネルギーを取り巻く情勢」、第2章「日本のエネルギー政策への提言」、第3章「生協における取り組み」からなる。
 
 核心は、第2章「日本のエネルギー政策への提言」といってよく、そこでは「今後のエネルギー政策の5つの重点課題」として、①原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換②省エネルギー(節電)による使用電力量の大幅削減③再生可能エネルギーの急速拡大④天然ガス火力発電へのシフト⑤電力・原子力に関わる制度改革と次世代送電網(スマートグリッド)の構築、の5点をあげている。

 そして、①原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換、では「既存原子力発電所の老朽化や地震の頻発などによるリスクの増大、新増設の困難、未解決の放射性廃棄物の処分の問題、国民世論の動向や政府の方針などを踏まえるならば、原子力発電への依存を段階的に低減し、原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換に踏み出すことが、今後の電力のあり方を考えていくにあたっての現実的な選択であると考えます」と述べ、「具体的には以下の通りです」として4点をあげている。

 ①安全対策の抜本的強化と地元合意(既存原子力発電所の再稼働の前提条件)
 ②老朽化およびリスクの高い原子力発電所廃炉
 ③新増設計画の凍結
 ④核燃料サイクル政策の見直しと高レベル放射性廃棄物問題への対応

 エネルギー政策検討委員会がこのような内容の提言をまとめる上で大きな影響を与えたのは、昨年7月に全国の生協組合員2351人を対象におこなった「節電とエネルギーに関するアンケート」の結果だったようだ。

 それによると、「今後の日本における原子力発電所のありかたについての考え」を尋ねた設問の答えは、「増設はせずに長期的には全廃する」51.2%、「現在稼働している発電所は可能な限りすぐに停止させ、早期に全廃する」15.2%、「積極的に増設を続ける」0.3%、「慎重に増設を続ける」4.2%、「増設や廃止はせずに現状を維持する」19.2%、「わからない」10.0%だったという。「原発をなくしたいという組合員が66.4%にのぼったんですよ」と、芳賀専務理事は強調した。 

 ところで、生協陣営内でも、パルシステム生活協同組合連合会(本部・東京、組合員130万人)、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(本部・東京、組合員35万人)などは、すでに、内橋克人大江健三郎落合恵子鎌田慧坂本龍一澤地久枝瀬戸内寂聴辻井喬鶴見俊輔の各氏ら9人の文化人が提唱した「原発にさようなら1000万人署名」に参加している。

 「日本生協連としてもこれに参加するか」の問いに、芳賀専務理事は「エネルギー政策を転換させるためのさまざまの運動がある。日本生協連としては、個別の運動を支持するということはしない。しかし、さまざまな運動に関する情報は会員生協に伝えてゆく」と答えた。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0756:120120〕



日本生協連】日本のエネルギー政策への提言『エネルギー政策の転換をめざして』を公表しました
http://jccu.coop/info/suggestion/2012/01/post-967.html

日本生協連は、このたび日本のエネルギー政策への提言『エネルギー政策の転換をめざして』をまとめました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故は、日本の電力とエネルギー政策のあり方に根本的な見直しを迫り、中長期的な方向を転換する必要があることを示しました。

消費者のくらしを守り、持続可能な社会の実現をめざす生協は、今回の問題を踏まえた考え方をまとめ、提言していく必要があると考えました。

提言『エネルギー政策の転換をめざして』では、主に以下の点を提言しています。

1.エネルギー政策の5つの視点

現在のエネルギー政策基本法の3つの視点 (1) 安定供給の確保 (2) 環境への適合 (3) 市場原理の活用に、(4) 安全の確保と、(5) 国民の参加を加えて5つの視点にしていくこと

2.今後のエネルギー政策に向けて、以下の5つの重点課題に取り組むこと

(1) 原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換
(2) 省エネルギー(節電)による使用電力量の大幅削減
(3) 再生可能エネルギーの急速拡大
(4) 天然ガス火力発電へのシフト
(5) 電力・原子力に関わる制度改革と次世代送電網の構築

3.原子力発電については、以下の考え方を基本とすること

(1) 安全対策の抜本的強化と地元合意(既存原子力発電所再稼動の前提条件)
(2) 老朽化およびリスクの高い原子力発電所廃炉
(3) 新増設計画の凍結
(4) 核燃料サイクル政策の見直しと高レベル放射性廃棄物問題への対応

また、今後の「生協における取り組み」についても、課題を掲げています。

日本生協連では、この基本的考え方に基づいて、政府や関係省庁などへの提言を行い、取り組みを進めていきます。

『エネルギー政策の転換をめざして』の
☆提言冊子はこちら(PDF:1.9MB)
http://jccu.coop/info/suggestion_120118_01_01.pdf
☆パンフレットはこちら(PDF:1.3MB)
http://jccu.coop/info/suggestion_120118_01_02.pdf

☆2011年7月に実施した「エネルギーと節電に関するアンケート調査結果」はこちら
http://jccu.coop/info/pressrelease/2011/09/post-758.html


農業協同組合新聞】老朽化やリスクの高い原発廃炉に  日本生協連がエネルギー政策の転換で提言
http://www.jacom.or.jp/news/2012/01/news120123-15915.php

 日本生協連は1月17日の理事会で、今後のエネルギー政策の基本方向について提言した「エネルギー政策の転換をめざして」を決定し公表した。

 東電福島第一原発の事故は、大量の放射性物質の漏出により、10万人を超える福島県民が避難生活を強いられるとともに、大量の食品や水、土壌や海洋への放射能汚染が広い範囲に広がるなど、甚大な被害をもたらした。こうした事態に対して日本生協連は「組合員の生命とくらしを守り、持続可能な社会をめざす生協は、今回の問題を踏まえて、はっきりとした考え方をまとめ、提言していく必要があると考え」、この提言をまとめた。

 すでに日本生協連としては昨年7月に全国の生協組合員を対象にアンケート調査を実施し、原発について「長期的に全廃」51.2%、「早期に全廃」15.2%と廃止の方向が全体の3分の2という結果を得ていた(詳細は本紙2146号 http://www.jacom.or.jp/news/2011/09/news110922-14939.php)こともこの提言の背景にはある。

 この提言ではエネルギー政策の基本視点として、現在のエネルギー政策基本法における3つの基本視点(安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用)に加えて「安全の確保」と「国民の参加」を基本視点に盛り込む必要があるとしている。

 そして今後のエネルギー政策の5つの重点課題として、

1.原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換
2.省エネルギー(節電)による使用電力量の大幅削減
3.再生可能エネルギーの急速拡大
4.天然ガス火力発電へのシフト
5.電力・原子力に関わる制度改革と次世代送電網の構築

を提言している。

 原発に頼らないエネルギー政策への転換では、「既存原発の老朽化や地震の頻発などによるリスクの増大、新増設の困難、未解決な放射性廃棄物の処分問題、国民世論の動向や政府の方針を踏まえるならば、原発への依存を段階的に低減し、原発に頼らないエネルギー政策への転換に踏み出すことが、今後の電力のあり方を考えていくにあたっての現実的な選択である」と指摘。「老朽化およびリスクの高い原発廃炉」や「新増設計画の凍結」などを提案している。

 再生可能エネルギーについては、現在はまだ発電電力量の1%だが、今後「大きく広がることが期待されて」おり、これを導入することで「地域にある多様な資源を活かして、新たな地域の雇用や成長を生み出す可能性を持っている」と指摘し、再生可能エネルギーによる「発電電力量を大きく高めていくこと」を求めている。

 また、生協事業における取り組みとして、店舗や宅配センター、物流センター、車両のエネルギー使用量の削減に取り組むとともに、使用電力の再生可能エネルギーの導入や物流車両のバイオ燃料の導入も進めていくことにしている。