【原発30キロ圏市町村調査】 広がる「地元」、範囲30キロ圏が34% 合意形成も困難に
【原発30キロ圏市町村調査】
広がる「地元」、範囲30キロ圏が34% 合意形成も困難に
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130308/dst13030810460009-n1.htm
2013.3.8 10:45
産経新聞が実施した原発30キロ圏首長調査では、3割の自治体が再稼働の同意を得る範囲を「30キロ圏内」と回答した。地元同意については明確な規定はないが、「地元」の範囲が拡大することにより、早期再稼働のハードルは高まる可能性がある。
「原発事故の被害は立地自治体だけに収まらなかった」。東京電力福島第1原発事故で全村避難を余儀なくされた福島県川内村は地元の範囲を30キロ圏内と回答した理由をこう説明する。
周辺自治体からは「原子力災害に立地自治体・周辺自治体の区別はない」(滋賀県長浜市)、「原子力災害対策重点区域となる自治体の同意は当然」(静岡県磐田市)として、30キロ圏内の自治体の同意を得る必要があるとの声が相次いだ。
一律に30キロ圏内と定めず、科学的根拠に基づき、さらに範囲を広げるべきだとの意見もあった。
「福島第1原発事故による放射性物質の拡散は、必ずしも同心円ではなかった」(福島県いわき市)のも理由だ。
これに対し、立地自治体を中心に、地元の範囲を「立地自治体のみ」とする意見もあった。地元の範囲が広がれば「合意形成が難しくなる」(北海道古平町)という懸念もあるためだ。
「これまで約半世紀にわたり原子力と向き合い、共存共栄を果たしてきた立地自治体の意見が十分に反映されるべきだ」(福井県敦賀市)との思いも根強い。
また、周辺自治体の中には「原子力に対する詳しい専門知識を有する者がいないため、再稼働の判断を課せられても対応できない」(長崎県平戸市)として、「立地自治体のみ」と回答した自治体もあった。
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐっては、一部自治体が30キロ圏内に入る滋賀県や京都府が再稼働の是非を判断する権限を求めた経緯がある。他原発の再稼働にあたっても、同種の議論が再燃することが予想される。