【朝日新聞】 原発防災計画 「避難区域 狭すぎる」 府内住民から批判
朝日新聞 2013年2月12日
http://www.asahi.com/area/kyoto/articles/MTW1302122700006.html
原発防災計画 「避難区域 狭すぎる」
府内住民から批判
府や京都市、北部7市町が年度内の見直しを進めている原発防災計画に、市民団体から注文が相次いでいる。防災重点区域が原発の半径30〜32・5キロ圏とされたことは、広範囲の住民が避難を迫られた東京電力福島第一原発事故を見ても狭すぎる、などが主な内容だ。
国は、緊急時防護措置準備区域(UPZ)にかかる自治体に、地域防災計画を3月18日までに作るよう義務づけている。府は2月1日、UPZを関西電力高浜原発の半径30キロ圏、大飯原発の32・5キロ圏と決定。京都、福知山、舞鶴、綾部、宮津、南丹、京丹波、伊根の8市町では、計画の概要が固まりつつある。
「京都の原発防災を考える会」(小坂勝弥代表)と「グリーン・アクション」(アイリーン・美緒子・スミス代表)は3日、京都市の計画を検証する勉強会を開いた。特に問題とされたのはUPZの狭さ。福島第一原発から60キロ以上離れた福島市でも高い放射線量が観測されているとし、拡大を求めた。
防護基準(避難基準)も問題視された。国は、毎時500マイクロシーベルトであれば数時間内に住民を避難させ、毎時20マイクロシーベルトなら1週間以内に一時移転させる方針。府もこの基準を採用する予定だ。アイリーンさんは、一般の出入りを厳しく制限する原発施設などの放射線管理区域は毎時0・6マイクロシーベルトで設定されているとして、「高すぎる」と批判した。また、住民説明会を開くよう国に働きかけることを京都市に求めた。
小坂さんは、高浜原発の半径5キロ圏とする予防的防護措置準備区域(PAZ)について、炉心溶融(メルトダウン)ほどの緊急事態でようやく住民を避難させるという点を「のんびりしすぎている」と指摘。地震や津波の発生時点で避難させるべきだと訴えた。
「原発なしで暮らしたい丹波の会」(児玉正人代表)なども7日、山田啓二知事に申入書を提出。公開された複数の拡散予測図を検討し、「避難対象地域は実際には30キロをはるかに超えている」とUPZの拡大を要求。安全協定の早期締結を関西電力に求めることも要請した。
「放射能から子どもを守る会・京都」(川口健次代表)も8日、府や各市に対して、計画の見直しに関する申し入れをした。自治体の計画を後押しする国の指針を「市民に無用な高被曝(ひばく)を強いるもの」「福島原発事故を踏まえない非現実的な指針」と批判。さらに、自治体の計画策定が原発再稼働の条件の一つとされているため、「拙速な策定は、再稼働に向けた露払いの役割を果たすことになる」とし、指針の撤回や見直しを国に迫るよう求めている。