詩の紹介
拝啓関西電力様・・・・詩をご紹介します
12月15日、滋賀県の大津市で滋賀県の10団体が協賛する「願いはひとつ 原発のない社会へ」という南相馬市からの避難者と中嶌哲演さんの講演と意見交流を中心にした集会が開催されました。
その集会で、講演者の青田さんの奥さんが朗読した詩がとっても素晴らしかったので、ご本人の了解を得てご紹介させていただきます。こんなものが役に立つなら、どんどん広めてくださいとのことです。相馬弁は味があんだ〜。
ぜひ、一読して下さい。
『拝啓関西電力様』
青田 恵子
エアコン止めで、耳の穴かっぽじって
よーぐ聞け。
福島には、「までい」っつう言葉があんだ。
までいっつうのは、ていねいで大事にする
大切にするっちゅう意昧があんだ。
そりゃあ、おらどこ東北のくらしは厳しかった。
米もあんまし穫んにぇがったし、
べこを飼い
おかいこ様を飼い
炭を焼き
自然のめぐみで、までいにまでいに今まで
暮らしてきた。
原発は いちどに何もかもを
奪っちまった。
原発さえなかったらと
壁さ チョークで遺書を残―して
べこ飼いは首を吊って死んだ。
一時帰宅者は、
水仙の花咲く自宅の庭で
自分さ火つけて死んだ。
放射能でひとりも死んでないだと……
この うそこきやろう 人殺し
原発は 田んぼも畑も海も
人の住む所も
ぜーんぶ(全部)かっぱらったんだ。
この 盗っ人 ドロボー
原発を止めれば
電気料金を二倍にするだと………
この 欲たかりの欲深ども
ヒットラーは毒ガスで人を殺した
おめえらのやっていることは
ヒットラーと なんもかわんねぇ。
ヒットラーは自殺した
おめえらは誰ひとり
責任とって 詫びて死んだ者はない
んだけんちょもな、おめえらのような
人間につける薬がひとつだけあんだ。
福島には人が住まんにゃくなった家が
なんぼでもたんとある
そこをタダで貸してやっからよ
オッカアと子と孫つれて
住んでみだらよがっぺ
放射能をたっぷり浴びた牛は
そこらじゅう ウロウロいるし
セシウムで太った魚は
腹くっちくなるほど 太平洋さいる
いんのめぇには、梨もりんごも柿も取り放題だ。
ごんのさらえば
飯も炊けるし、風呂も沸く
マスクなんと うっつぁしくて かからしくて
するもんでねえ
そうして一年もしたら
少しは薬が効いてくっかもしんにぇな
ほしたら フクシマの子供らとおんなじく
鼻血が どどうっと出て
のどさ グリグリできっかもしんにぇな
ほうれ 言った通りだべよ
おめえらの言った 安全で安心な所だ。
さあ、急げ!
荷物まどめて、フクシマさ引っ越しだ
これが おめえらさつける
たったひとつの薬かもしんにぇな。
【註】相馬弁の解説
①んだげんちょも…だけれども
②腹くっちく…腹いっぱい
③いんのめえ…家の前
④ごんの…焚き物にする小枝や落ち葉
⑤うっつぁし…うっとうしい
⑥かからし…わずらわしい