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【京都新聞】「原発防災地域30キロに拡大 自治体、住民対応戸惑い」

原発防災地域30キロに拡大 自治体、住民対応戸惑い
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20111021000040

 原子力安全委員会の事務局が20日、原発事故に備えた防災対策を義務付ける地域を半径30キロに拡大する方針を示した。京都府では新たに対象となる自治体や住民から避難計画の見直しに戸惑いの声が上がった。滋賀県では琵琶湖の一部も入り、近畿の水源の安全性確保が急務になる。

 府は5月、自治体に避難計画や医薬品の備蓄を求める緊急時計画区域(EPZ)を、国が定めた原発の半径10キロから独自に20キロに拡大。対象が5市町約9万人に増え、対策を検討してきた。ところが今回、EPZを「緊急防護措置区域」(UPZ)の名称に変えて30キロとすることが提案され、対象が8市町約13万4千人に広がった。

 宮津市は市域の大半が含まれ、対象も1200人から2万人に急増。伊根町も1800人が対象になる。両市町とも市役所と役場が入り、万一の場合、避難先確保とともに庁舎機能移転も迫られる。井上正嗣市長と吉本秀樹町長は「単独では対策が難しく、府北部全体の問題。広域連携して対応を議論したい」と声をそろえ、府も避難所の確保を見直す。

 新たに盛り込まれた、直ちに避難する「予防防護措置区域(PAZ)」(原発半径5キロ)には舞鶴市の90人が含まれる。市の防災計画で避難先は決まってはいるが、移動手段が未定で、圏内の農業松岡良啓さん(65)は「集落で避難方法を話し合わなければ」と不安を訴える。

 年間177万人が訪れる天橋立宮津市)も30キロ圏内に入った。天橋立観光協会の宮崎劭会長は「小さな事故でも観光客は危険を感じる。影響が出るのは必至」と困惑する。左京区北部が入る京都市も圏内は無人とはいえ、周辺に約200人が住む。市消防局は「(甲状腺被ばくを防ぐ)安定ヨウ素剤の備蓄はなく、準備はこれから」と戸惑いをみせた。

 滋賀県では長浜、高島両市が原発から半径30キロ圏内に入る。嘉田由紀子知事は「リアリティーのある計画案」と受けとめ、国の「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の情報提供も求めた。

 関西電力美浜原発福井県美浜町)の場合、圏内人口は約1万2600人。日本原子力研究開発機構高速増殖炉原型炉もんじゅ敦賀市)では約8700人、日本原子力発電敦賀原発(同)は約7500人。大飯原発おおい町)の圏内には高島市が入る。

 安定ヨウ素剤などを配備する準備区域(原発半径約50キロ圏内)では長浜、高島両市に加え大津、米原両市も含まれる。

 嘉田知事は現在、県地域防災計画の見直し作業を進めており、「国が県と同じ拡大の方向性を示し、見直しに取り組みやすくなった」と述べ、30キロ圏内に入る京都や福井、岐阜各府県との連携も必要と指摘。SPEEDI情報も「30キロ圏内になれば国も提供できないとは言えない」と強調した。長浜市高島市は電力会社などに対し原発の立地自治体並みの権限付与や安全協定の締結をさらに求める方針。安全対策の強化も進める。